自然の生命と日本人 ~国土と宗教・信仰…民俗学の視点から~

日本の自然・国土と宗教観・信仰について、延喜式、風土記等編纂資料のほか、地域の民俗学資料、各種民俗学文献から考察します。フィールドワークの記録も。

日本国土の特徴を概観する

日本人の民俗・信仰を知っていく上で、国土地理への理解があったほうが、より充実した知識を得ていけると思います。既に数多論じられるところですが、あらためて日本国土の特徴を整理してみたいと思います。

 

□地震大国:世界で発生したマグニチュード6以上の地震のうち20.5%が日本で発生しています。(JISサイトより)国土の狭さから考えると、その割合が如何に高いかがうかがえます。

山地の多さ・河川の急流:国土の約73%が山地であることが報告されています。また、狭い国土に山地が多いため、他国と比べ河川は細く急流である傾向だと言われています。

気候:日本列島は、南北に縦長の形をしています。そのため国土の北と南では同じ日本でも気候が大きく異なっています。

火山:日本は、環太平洋火山帯の真上に位置しており、世界の活火山の約7%が存在しているとされています。

環太平洋火山帯図(Wikipediaより)

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 日本の自然環境は多様であり変化に満ちています。国土の複雑な性質はその変化を理解予測することが難しく、まつりごとの動向や人々の精神性と深く結びついていると古の人々に解釈・信仰されたこともうなずけます。

”八百万の神々”という言葉があるように、日本人は森羅万象すべてに神の性質を見出してきました。それにはこの複雑で人間にはコントロールすることのできない国土環境が深く関与していることは、多くの方が指摘するところです。

”すべては八百万の神々によって流転する”…万物流転の思想が日本人にはあります。日本人は、善と悪というような二項対立の思想ではなく、混濁し流転する自然現象の中でその生命と文化をつないできたと言えそうです。

 

by 自然の生命と日本人 author:スイチョク